かけた事のない電話番号
散々な休日の後の月曜日、とても仕事に行ける気分ではありませんでした。
かと言って家にいるのは絶対に堪えられません。
何も考えず、とにかくいつものように身支度をして家を出ました。
駅までの道のり、見かけた男性全てが怖かったです。
通勤の満員電車の中では女性も含め、自分以外全員が怖くてたまらなくなり、
気分が悪くなってきてずっとうつむいていました。
おぼつかない足取りと重い気分でなんとか職場には辿り着きましたが、
接客業なのにお客様が怖くて仕方がありません。
当然、仕事にはならず、ずっと適当にお客様から逃げていました。
私達の仕事であってはならない事ですが、お客様の顔を直視できなかったんです。
そんな私の姿を他の子達が見かねて結局すぐに早退させて貰いました。
職場にもいられず、家にも帰れず、どうしよう…
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう…
駅前の公園のベンチでハトに囲まれながら考えていました。
いつまでここにいるの?
ずっとここにいる訳にはいかないし…
どこに行くの?どこに行けば良いの?
もう田舎に帰ろうかな…
その時、ふと私の両親の事を思い出しました。
結婚式の時に涙を流して送り出してくれた父親の事を思いだして
悲しくて、申し訳なくて…
母親には今の現状をよく相談していたんですが、
父親には特に話した事がありませんでした。
母から話は伝わっているとは思いますが、
古いタイプの頑固な人間なので何て言うか…
助けて欲しい、謝りたい、聞いて欲しい、声が聞きたい、
いろんな想いが駆け巡って無意識に携帯のアドレスから
かけた事の無い父の番号を見つけ発信ボタンを押しました。